第11回キラク川柳５月の月間優秀作品6月20日掲載作品

晩酌を飲んでいたよと夢の中

たそかれを老いと若きがそいてゆく

子育てと似ているような介護道

毎日が折れ線グラフ老いてゆく

される身になった介護に血が通う

AIにアナログ介護できますか?

スマホ持ち認知と縁を切った祖父

つらい日々楽になったら又寂し

つながない手だって一つの介護なの

毎日が明日も続けと夜思う

人生の四コマまんがの四コマ目

俗の世を卒業したかこの笑顔

母の杖新品ゴムにそっと換え

抱きかかえおおきな体父なんだ

不自由な指で叶えた千羽鶴

母子手帳母は何度も見ただろう

親のすね罪滅ぼしにマッサージ

人生は晴れのち曇り雨宿り

寝たきりになって夫は妻に向く

親の身を支えるためにジム通い

今日もまた鬼と天使を演じ切る

介護とはカタチで示す感謝状

先を読み棋士も介護も成る笑顔

「握る」から「包む」に変えた祖父母の手

リハビリを妻と越えたい天城越え

秒針の音が余生を刻む夜

幸せは見つけるよりも気付けるか

母の手は昔も今も温かい

ボケたってやはりあなたがいい私

与えてるつもりがその倍もらってる

最期まで看たい息子と嫌な父

長期戦手は抜かないが息は抜き

福と鬼それなら福で終わりたい

白黒で語る記憶はフルカラー

逝かないでわたし頑張り通すから

咳一つ死にたい人の医者通い

この介護まだ終われない恩がある

最後の日母からもらう通信簿

這う力あるから自由家の中

町中で愛に出会った車椅子

後悔はしたくないのと嫁が言い

老人の握手に皺の波がある

「限界か？」昨日の無理が歩き出す

食べさせてもらったように匙はこぶ

介護して介護されての嫁舅

この俺を忘れた父の髭を剃る

認知症天から降って来た病

介護っちゅうゲームは笑ろたもんが勝ち

される身となりて介護の本質を解り

アメ１つもらってデイの友ができ