運営事務局の一句

vol.52

暗闇にもれる灯りに安堵する

詠み手 キラク川柳の部屋
運営事務局
松枝 良江

私の家の近所に90歳を超えたおじいさんが住んでいます。数年前に奥さんが亡くなられ、一人暮らしをしています。私は毎日会社の帰りにその家のそばを通るのですが、ある時家中真っ暗で電気がついていない日が何日かあり、どうしたのかなと心配していたら、自転車で事故にあって入院していたということでした。幸い怪我は軽くて数日で退院して自宅に戻ってこられ、また毎日灯りがともるようになり、ほっとしました。

そのおじいさんは、地域で一番の長老で、祭りごとやいろいろな行事のことに詳しいので、みんなからとても頼りにされています。私が子どもの頃は、いつも姿勢正しく、せかせかとしていてしゃべり方も早口でなんとなく怖かったのを覚えています。今でもしゃきっとされていて、昔に比べると少しゆっくりめのせかせかですが、会うとこちらも身が引き締まる気がします。身の回りのことはもちろん、畑仕事も丁寧にきちんとされています。

今では毎日その家のそばを通るとき、カーテンの隙間から灯りがもれているのを確認するのが日課になっています。これからもずっと元気で長生きしてほしいと願っています。


近所の風景です。
緑豊かでのどかなところです。

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