胸にこみ上げる色々な想い、言葉では表現できないもどかしさ、その溢れる想いが「手を握る」という行動をとらせたのでしょう。そして重なり合った手から、沢山の想いがあふれ出しています。人間にとって、本当に大切なものは眼には見えないものです。それは愛、優しさ、思いやり…きっと想いは通じる。そう確信させてくれる、愛に溢れた一句が今年の大賞に選ばれました。


この句を詠んだ瞬間、審査員一同、思わず顔がほころび、その場に優しい空気が流れました。施設にお伺いした時によく目にするこの光景は、「よく来てくれた、でも眠い。」「逢いに来たけど、また寝ちゃった。」お互いが相手を思いやり、相手の意思を尊重し、許しあう。読んでいて、とっても微笑ましく、幸せな気持ちにさせてくれる一句です。
「おかえり」の一言には、元気でまた帰って来てくれたという、優しい思いやりが詰まっています。優しく迎えてくれた職員の方の笑顔や言葉が、家を離れる寂しさ、不安を取り去ってくれたのでしょう。職員の方と詠者との、気の置けない暖かい関係がうかがえる一句です。
この句を詠んで、お祖母さまとの思い出を思い出した方も多いのではないでしょうか?親とはまた違った、無償の愛を注いでくれる祖母は、とても大きく偉大な存在です。今も変わらず、傍にいて、愛情を注いでくれる。ふっとした瞬間に触った腕から、昔の思い出が蘇り、その想いを再認識させてくれる優しい一句です。これからもお祖母さまを大切になさってくださいね。
テーブルでメロンを挟んでいるお二人の姿が目に浮かぶようです。大好物のメロンを ひと口入れた瞬間に唸っているのでしょうか。「死」という言葉が入っていながら食べる欲(=生きる欲)を感じます。陽気なメロン大好きさんとローバさんの笑い声が聞こえてきそうな句です。どうぞ、末永く仲睦ましくお元気にお過ごしください。
(評:鈴木ひとみ)
先生が、「介護を支えていくであろう若者たちに、介護を考えることで世代間の相互理解と交流の促進につながり、優しさと思いやりの心を育んでほしい」と、授業の一環としてキラク川柳を取り上げてくださいました。素直で純粋な想いの詰まった228名の川柳に、事務局一同、心が洗われました。本当にありがとうございました。

職員の方を中心に、多くの川柳をご応募いただきました。介護現場で働かれているからこそ生み出せる、実体験にもとづいた介護川柳。ご利用者とのあたたかいふれあいの場面が、自然と眼にうかんできます。また、職員の方の介護にかける熱い想いも伝わってきました。あたたかく豊かな気持ちさせてくれる介護川柳のご応募、本当にありがとうございました。
賞状および賞品の発送は、10月初旬を予定しております。今しばらくお待ちくださいませ。