鈴木ひとみさんコラム

キラクアドバイザリースタッフ 鈴木ひとみ
1962年、大阪に生まれる。「’82ミスインターナショナル準日本代表」などの栄冠に輝き、モデルやTVのアシスタントとして活躍。1984年8月に交通事故で頸椎を骨折し、下半身にハンディを負うが身障者の国体にて2種目大会新記録で優勝。車椅子陸上競技世界大会では金メダルを獲得。1986年6月、鈴木伸行氏と結婚。良き理解者でもある夫、伸行氏との関わりは介護者と被介護者の理想的スタイルの1つとも言える。執筆や講演、TV出演と、ハンディをものともせず生き生きと活躍する彼女に様々な人々がエールを送っている。

そろそろ内を見つめませんか?

“残りの人生を意識する”ことは決してネガティブなことではなく、
むしろ“今を精一杯生きること”だと思います。
この夏、身近な人が脳梗塞で倒れました。
後遺症は残っても元気に戻ってくるだろう、と思っていたら
2週間で反応が無くなり、今は病院が終の住処になるであろう。
人の老い、死を意識した時、
私は自分の人生を外から内に見つめるようになりました。

子どものころ、今の私と同世代の人が
とてつもなく大人に思えたのは、
どの家でも3世代同居はザラで、
家族を看とり、死と向き合っていたことが
内面の成熟を助けていたのではないでしょうか。

でも世間では“いつまでも変わらずに若い”ことが
称賛されています。
心と体は同じ中にあるのに、心だけが成熟するのだろうか。
友人で娘と姉妹に間違えられると喜んで、
娘の服を着られることを自慢にしている人がいます。
ある日、待ち合わせた場所で彼女が振りむいた時、
確かに年齢相応の友人がいました。
20歳の時より気持ちが成長しているなら、
その心と同じように体だって変化するはず。
いつまでも20代でいたい、と思っていると
心も成熟できない気がします。

人間の欲求はいろいろあります。
「食べたり寝たり」「安全でいたい」「愛されたい」
「自分の居場所、家族や所属がほしい」そして
「世間で認められたい」他の人からの評価を気にしていると
“これで良い”という満足を得られない。
もっと若くいたい。もっとほめてほしい。
たとえ、社会的地位を得ても
それに相応しい扱いを受けなかったら不満に思う、のも
外的な満足を得ることが
目標になっているから、ではないでしょうか?

こういう経験や葛藤は誰にでもあるけれど、
目標を外からの満足ではなくさらに、
内に向けることが大事だと思う。

残り少ない命だと言われたら、
他人からの賛美の言葉など何の意味もない、
自分らしい人生を送りたいと願うはず。
「自分の心の成長」を積み上げること、
その過程は大きなエネルギーを持っている。
その生き方を次の世代に伝えることだってできる。
若くないと出来ないことはあるけれど、
年を取ると分かることもあります。
年を取ることを見ないようにするなら、
一生分からないかもしれません。
心をこめて生きることが出来る人は、
死を意識した人のもつ強さです。

4コマ漫画

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