第9回キラク介護川柳受賞作品発表

キラク大賞
賞状と副賞(5万円の商品券)進呈
人生の仕上げに妻の介護する
(ペンネーム いーじー)

共に手を携えて人生の終盤にさしかかった二人。幸せな一生であれば幸いですが、実際は、夫婦のうちの一方が病に倒れ一方が看病に回るいわゆる老老介護になる場合は結構多いのではないでしょうか。
そんな中にあって、妻を介護する夫の優しい心とそれを受け入れる妻の感謝の心が人生の仕上げとなれば、他のどんな仕上げよりもはるかに素晴らしいと思います。仕上げが無事に終わることを心から祈るばかりです。

 おかげさまで第9回を迎えたキラク介護川柳。今年も素敵な作品を多数ご応募いただき、本当にありがとうございました。事務局一同、大変感謝しております。

 今回も、介護をしている方、介護を受けられている方、それぞれの想いが込められた川柳がたくさん届きました。いつもそばに寄り添う人を思いやるがゆえに生まれる様々な感情、日増しに深まる愛情を川柳を通じて感じさせていただきました。

 介護を通じて共に過ごす日々の中、笑顔でいっぱいになる事、涙で濡れる事など、たくさんの出来事があることでしょう。決して楽ではない介護ですが、楽しいことや辛いことを共に分かち合うからこそ、何事にも代え難い愛情が生まれるのではないでしょうか。その愛情はきっと、大切な心の支えとなってくれると思います。

 ご応募いただいた方々の介護と向き合う強さ、辛いこともユーモアに変えて笑い飛ばすおおらかさは、川柳を読ませていただいた私たちの前向きに進むパワーとなりました。改めて、素敵な川柳に触れさせていただいたことを感謝申し上げます。

 そして、このキラク介護川柳がたくさんの方に元気をあたえ、励みとなる場であることを心より願っております。ご応募いただきましたみなさま、そしてキラク介護川柳を陰で支えてくださっているみなさま、本当にありがとうございました。来年もまた、素晴らしい川柳に出会えることを楽しみにしています。

キラク介護川柳の部屋 運営事務局

白・ピンク・花・星・ハート手話の爪

とかく暗くなりがちな介護川柳のなかでこの句の明るさ華やかさに救われました。
白・ピンク・花・星・ハートが描かれた爪のなんときらびやかなことでしょう。指はきらびやかでも、話には楽しいものも悲しいものもあるでしょう。弾んでいる会話が楽しいものであれば良いのですが・・・。
手話をする指の爪に着眼した点、しかもきちんと五七五におさめられている点、どちらも見事です。

墓石を介護している親不孝

介護はどれだけしてもし尽したという気持ちにはなかなかなれません。
よくやったと言われれば言われるほど、どこか足りなかったのでは、出来たことがまだ何かあるのではという気持ちが募ります。
 その悔恨を「墓石を介護している」と表現されたのです。墓石を介護することなど現実にはできないだけに、墓前に立ちつくす作者の気持ちがより一層伝わります。

冷蔵庫いっぱいにして母の老い

大好きなお母さんだけは、老いることなくいつまでも元気でいて欲しい。
子供の願いです。でもそんな都合の良いことはありません。この句のように母の家の冷蔵庫がいっぱいになる日がやって来ます。
なぜならお母さんが教えようとしているから。そうなのです。これこそがお母さんからあなたへの最後の教育なのです。だからあなたは、このことをしっかりと受け止め、理解しなければなりません。

「女子会に行ってきます」とデイ・サービス

女性は、若くても年老いてもたくましい。男性より人と交わることが得意なようで、デイでもすぐにお友達を作りおしゃべりを楽しんでいます。義父がデイに行くことを拒み、母が説得するのに大変でした。ところが、一端慣れると、お迎えのデイの車、その窓から高齢女性に手を振られ、喜んでサッサと乗り込んでいた父に母は呆れていました。そんな父も今はいませんが、うめさんのお母様もデイ・サービスで女子会を楽しんでください。
(評:鈴木ひとみ)

順不同 敬称略

団体賞作品

デイサービスのご利用者様から、多数のご応募をいただきました。レクリエーションの一環として、皆様でああでもない、こうでもないと言いながら川柳を考えてくださっていたのかなあと想像し、とても嬉しい気持ちになりました。これからも川柳を通じてたくさんのふれあいがあることを願っています。本当にありがとうございました。

キラク大賞・優秀賞 選者 一般社団法人全日本川柳協会
					事務局次長 真鍋 心平太 氏

賞状および賞品の発送は、10月初旬を予定しております。今しばらくお待ちくださいませ。

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