第15回キラク介護川柳受賞作品発表

キラク大賞
賞状と副賞(5万円の商品券)進呈
リハビリで手足と口が福反応  たぬき親父

 新型コロナウイルスの流行で、ワクチン接種による副反応という言葉が登場しました。ワクチンを受けた方はこの副反応に悩まされた方が多い。実に嫌なイメージを呼ぶ言葉です。
 この句の作者は、これを逆手に取ってうまい造語を思いつきました。「福反応」にすれば福を呼び込めます。前向きになれます。
 福反応で元気になった手足と口が目に浮かぶようです。副反応で愚痴をこぼしていても仕方ありません。いずれこれも収まるのですから。
 何事も前向きに考え直そうとするポジティブ思考の作者の健康的な笑顔が想像されます。リハビリの素晴らしさも改めて教えられました。

 おかげさまで第15回を迎えたキラク介護川柳。今年もたくさんのご応募をいただき誠にありがとうございました。事務局一同、感謝申し上げます。

 思い返せば15年前、介護ウエア「KIRAKU」の製造メーカーとして何か皆さまに楽しんでいただける企画ができないか、という想いからスタートを切ったキラク介護川柳。今までにいただいた応募総数は6万点以上にものぼります。ここまで長く続けることができたのは、一重にご応募いただいた皆さまのおかげと感謝の気持ちでいっぱいです。毎年開催を楽しみにしているという嬉しいお声もいただき、運営事務局一同、皆さまに愛されるコンテストであり続けられるようにと想いを強くいたしました。

 今回はコロナ禍になってから3回目の開催となりました。まだまだ物理的な距離を取らざるを得ない日常が続いていますが、いただいた介護川柳には普遍的な愛があり、心の距離はとても近いことを感じます。川柳から感じる溢れんばかりのあたたかさは、私たちの心に多くの活力と安らぎを与えてくれました。

 今後も皆さまの心に響き、前向きな気持ちになれる、また共感し安らぐことができる、そんな場を作っていきたいと思っております。

 ご応募いただきました皆さま、そしてキラク介護川柳を支えてくださっている皆さま、本当にありがとうございました。来年もまた、素敵な川柳に出会えることを楽しみにしております。

キラク介護川柳の部屋 運営事務局

優秀賞賞状と副賞(2万円の商品券)進呈
犠打ばかり母の人生抱きしめる  逆ペリカン

 このお母さんは昭和一桁生まれの世代でしょうか。犠打ばかりの人生を送ってきても、どこかにそれを肯定しているお母さんの逞しさを感じます。介護を受けながらも達観しているのかもしれません。
 息子や娘の立場から、そういうお母さんの人生を改めて振り返ってみると、急に愛おしく思えて抱きしめたくなるのでしょう。犠打ばかりだったけど、犠打ばかりだったからこそ立派に私たちを育ててくれたのです。抱きしめて素直に感謝する。いい情景です。

優秀賞賞状と副賞(2万円の商品券)進呈
介護5年少し人間出来てくる  醍醐桜

 介護する側の開き直りをうまく詠んでいます。日々介護している中で、心理的な潮目が変わったのでしょう。
 その時自分に対しても人間が出来てきた手応えを感じたのです。介護を通じて己の成長を感じられる。介護の持続可能性も見えてきたでしょうか。
 介護させてくれて本当にありがとう。その境地にいずれ達することでしょう。介護の素晴らしさを教えてくれます。

優秀賞賞状と副賞(2万円の商品券)進呈
歳をとる足し算よりも引き算で  ヒロばあ

 人生が目減りしていくなんて思わない。高齢者の仲間入りするとは、足し算から引き算へ自分の考え方を単に転換することだけです。
 引き算に決められたゴールがある訳ではありません。しっかりと守りの姿勢で生き抜く覚悟が生まれているのです。だから決して悲観的なマイナス思考には陥らない。一歩ずつ着実に歩いていけば、先のことはなるようになると思えてきます。引き算の世界の力強さを勉強しました。

鈴木ひとみ賞賞状と副賞(1万円の商品券)進呈
新婚の倍はしている妻とハグ ねこまる

 目の前が、ぱっと明るくなる川柳です。ご主人が奥様をベッドから車いすへ、トイレへ。また、お風呂場へと移されている姿が目に浮かびました。奥様が前かがみになり、体をご主人に預ける。それを受けてのご主人がハグするかのように、奥様をしっかりと支える。
 長いご夫妻の生活が、豊かなものであったのだろうと想像します。それが介助する場面を「ハグ」という言葉で表わしています。ハグをしながらダンスできるくらい奥様がお元気になられるといいですね。どうぞ、腰痛にならないように、ご自身もケアしつつ、笑顔が続く毎日でありますように、と願っています。
(評:鈴木ひとみ)

順不同 敬称略

団体賞
団体賞作品

 昨年に引き続き、2年連続の団体賞受賞となりました。今年も生徒の皆さまから286通ものご応募をいただきました。
 若い感性で素直な気持ちを詠んだ皆さまの川柳は、ストレートに心に響きました。介護の経験はないけれど自分なら何ができるか、それぞれが前向きに考え想いを詠んだ作品が多かったように思います。介護について考えるこの機会が、若い方々にとって、人を思いやることの大切さを考える一助となれば幸いです。
 この度は団体賞の受賞、大変おめでとうございました。

選者
一般社団法人 全日本川柳協会
  理事 三上 博史 氏
各賞について

賞状および賞品の発送は、10月中旬を予定しております。
今しばらくお待ちくださいませ。

キラク介護川柳特別賞作品と参加賞についてはこちら